先日の剱岳の筋肉痛が治まってくれないので、リハビリのつもりでこれまで何度か登っている夜叉が池に行ってくる。泉鏡花の小説やそれを演劇化したものもある『夜叉が池』はここを舞台にした伝説から取っている。北陸自動車道の今庄インターで降りて、白い花が満開の蕎麦畑が時折広がる道を行くと、鳥居がゲートになっている登山口にたどり着く。川沿いを遡り、2時間弱ゆっくり登って、ぽっかりと目の前に飛び込んでくる池の姿は、異空間にいるような、それでいてほっとするような雰囲気の場所で、伝説の一つや二つあってもおかしくない。それと、気になっていたのは、以前何度か訪れたときは、湖面が一面黒と所々のオレンジ色に映るくらい「アカハライモリ」がわんさかいたが、知人の話では、いつの間にかほとんどいなくなったとのこと。それも確かめようと、池の見える場所にたどり着くと、待っていたのは「夜叉が池パトロール」と腕章を付けたボランティアの方々で、イモリを取り戻そう運動かな?などと思って渡されたパンフレットを見ると、この池は世界でここにしかいないゲンゴロウの仲間「ヤシャゲンゴロウ」の生息地だそうで、そんなすごいところだったのかとびっくりしてしまった。
モリアオガエルの木の枝に産み付けた卵から、生まれたてのオタマジャクシが池に落ちて行くのを、下でヤモリが口を開けて待っているとは聞いたことがあるが、そこにそんな貴重な希少野生動物がいたとは。池の周りには木道が設置されていて、そこから湖面には行けなくなっていたが、のぞき込むとオタマジャクシとイモリは数は少ないながら、水中をウロウロしていたが、残念ながら以前は湖面のすぐ近くまでいけたのが、今は木道より近づいてはいけないとのロープが張り巡らされていて、その希少価値の主にはお目にかかれなかった。