さて、会場に入るなり驚いたのは、メインの彼は香津美と同じギタリストで、あの香津美も「ぶっ飛んだ!」という凄いミュージシャンだと書いてあるパンフレットを見ながら、ステージでは見たことのない若い前座のギタリストがソロで演奏する姿が。このもしゃもしゃヘアーの前座のあんちゃんがなかなかの凄腕で、あららあららと見ているうちに、今度はカウボーイハットが似合うような、消防士のユニフォームが似合うようなごっつい感じの栗色短髪ガイジンオヤジが現れ「マイドー・モウカリマッカ!」と拍手喝采の中でのたまった。えっ?ギョギョ、こいつがエマニュエルか?こいつの奥さんはエマニュエル夫人か?とおったまげてしまった!
小柄な香津美とは対照的に、大柄のトミーはちょっと小振りのアコスティックギターをこれでもか!というくらい、時にはアクロバティックな演奏をし、しっかりビートルズのスタンダードもバラードもこなしていく、これは完全に関西系の乗りだなと途中で気がつくと共に、演奏中の彼のステップが妙に気になっていった。オーストラリア人とは言えカントリー系のリズムが多いせいか、どこか懐かしさを感じると思いながら次々繰り出されるテクニックに目を見張っていたが、ハタと気がついた!これは大道芸人のステップだ!時々街角で見かける海外から出稼ぎでやってくるストリートパフォーマーで、ギターもハーモニカも体に貼り付けたドラムセットも一緒に演奏するあの芸人と同じ、あのステップというかリズム刻みだ!
このオヤジは相当苦労してこれだけのパフォーマーになったんだなと勝手に感心してしまった。