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2012年7月18日水曜日

霧と強風の二百名山NO.41『上河内岳2803m』百名山NO.92『聖岳3,013m』

石川県に住む私たちには、静岡県は北海道や九州より遠い存在で、そこまで行くのがなかなか大変。
今回は長野県の飯田側から易老岳~光岳(てかりだけ)~茶臼岳~上河内岳~聖岳のルートを予定していたのだが、直前で麓の宿泊施設から連絡があり、林道の復旧作業中に落石事故があり犠牲者が出て、林道は車も人も通行できなくなったとのこと。
そうすると・・・・遙かなる静岡県からの登りに変更を余儀なくされるが、しょうがないか。
この「しょうがないか・・」の気持ちから結果的に静岡の奥深さを教えてもらった。

7月13日(金)
静岡駅から車のナビに「赤石温泉 白樺荘」をセットして山道を走ること2時間。行けども行けども細い山道で、そろそろ静岡からお他の県へ出てしまうのではと思っている頃に到着したのが、前夜7時頃。ちなみに金沢からの5時間を足すと7時間運転してちょっとくたくた。
この白樺荘は、その名前に沿うようにととってつけたように玄関脇に白樺の木を植え込んであり、妙に新しい建物の公共施設とのことで、すこぶるリーズナブルな料金で「鹿刺し」まで夕食に添えられるという静岡市井川観光協会の気合いが感じられた。

7月14日(土)
昨夜の雨もどうにかあがり、時折薄日の射す朝。
世の中は3連休だというのに、なぜだかこれはお役所仕事らしい様子で、山開きも山小屋の営業も、登山口までの送迎バスも翌日15日からだと言うことで、行けるところまで、のゲートに7:20到着。「登山指導センター」なる建物があるが、おそらくここも明日から営業するのだろう、全く人影がない。

ゲートから林道を歩くこと40分
林道脇に咲く「ヤマホタルブクロ」

茶臼岳登山口である「畑薙大吊り橋」に到着。よくこんなもの作ったな、とつぶやきながら、長い橋をちょっとひやひやしながら進む。
登りはじめて20分、息が上がってきた頃に出てきた「ヤレヤレ峠」
誰がネーミングしたのだろう?

いくつかの小さな吊り橋を渡る。定員5名という表示はワイヤーの強度からのものだと思われるが、ワイヤーの間に渡された板が時折朽ちていたりして、抜き足差し足・・・・

ヤレヤレの次はウソッコかいな・・・・
ゲート出発から約2時間9:20「ウソッコ沢避難小屋」に到着。
このあたりから登りがきつくなり、「中の段」~「横窪沢小屋」には10:40着
この小屋も営業は翌日からだろうか、人影もなく、ちょっと太めのお姉さんが、「ご苦労様でした~。ゆっくりしていってくださ~い」と冷たいお茶と小さなまんじゅうを窓から渡してくれた。
小屋の前で出会ったおじさんは「今、川で釣ってきた」とイワナを二匹今夜の夕食用にか小屋のおじさんに渡していて、そのおじさん曰く、「これからちょっときついけど、それも樺段までだよ」とのこと。しばらくは「樺段、樺段・・・」とつぶやきながら歩を進める。
雲行きが怪しくなり、細かい雨が顔に感じるようになり、こんな標識が出てくる。
名前の通り、回りにカバノキらしい種類の樹木が増えてきて12:40樺段着



 雨がだんだん激しくなり、早く小屋へ!と進むと、どこからか視線を感じてふとみると、「お~、よく来たな~」と鹿が私たちの様子を窺っていた。
ゲート出発からほぼ6時間の13:20、今夜の泊まりの「茶臼小屋」に到着。
近年改築したらしくなかなかきれいな小屋で、ここも正式な営業は翌日15日からなので、この日は冬用の避難小屋利用者としての扱い。本来は食事も出ないところ、山小屋の名物?オヤジ高橋管理人のご配慮か夕食・朝食をつけてもらう。
夕方、雨がかすかに上がり、富士山がちょこっと見えた。


7月15日(日)
朝から霧雨、5時の朝食の後5:45茶臼小屋出発。
予定では茶臼岳にピストンで頂上へ向かうところ、ほとんど景色も望めないとの判断で、上河内岳に向かう。
メガネもカメラのレンズも霧雨で前が見えなくなることしきり。分岐の標識も見えず、その後現れた「亀甲状土」と呼ばれるでこぼこ草原も視界はわずか。


7:20二百名山「上河内岳(2803m)」頂上に到着。全くの霧の中。


尾根沿いを聖平に向かう。風も時折強くなり、雨に濡れて「ハクサンシャクナゲ」が所々に咲いていた。

天気が良ければこのあたりからきれいな聖岳の山姿が見れるのだが、南岳を越えたあたりで風はますます強くなり、そんな中でも咲いている「オサバグサ」と「ハクサンフウロ」(だと思われる・・・)



9:30聖平小屋に到着。今日、営業開始なので賑わっているのかと思ったら、植物生態の調査のボランティア隊が30人くらいいて、小屋の一階を占領していた。
軽く早めの昼食を取り、大きな荷物は標高2230mの小屋に置いて、10:20聖岳に向かい出発。約1時間で「小聖岳(2662m)」

ガレ場の登りに入っていくが風雨で前が見えなくなってくる。
岩場にへばりついて咲いている「オヤマノエンドウ」
12:20百名山「聖岳・前聖岳(3013m)」頂上到着。

天気も天気だけに、やっと着いた!という感じが強く、風にあおられそそくさと下山する。
強風の中ひっそり身を潜める「イワベンケイ」

14:15聖平小屋到着。
私の場合標高2800mを超えると頭痛吐き気の高山病の症状が出てくるのだが、今日は2800mを二回超えてもそれほど症状を感じられず、来週登る富士山の練習にある程度なったかなと思う。
反対に聖平小屋が2230mの標高だと聞いて、小屋の玄関に表示してあった「缶ビール特価2本500円!」の貼り紙につい手が伸びてしまった。
前日の茶臼小屋から同じコースをほぼ同じペースで動いていた年配の6人のパーティーのうち、ご夫婦お二人がこの聖岳でご夫婦そろって百名山を達成されたとのことで、夕食時に披露されていた。ちなみにご主人は元営林局に勤務で72才、20年掛けての達成だとのことで、今の私の年齢から百名山を目指したことになる。見習わなくては!

7月16日(月・祝)
4時半の朝食の後、5:30小屋を出発。

麓の聖沢登山口を10:00に出発する井川観光協会のバスに乗るために4時間で一気に駆け下りる。

ちなみに「茶臼小屋」も「聖平小屋」も今回前泊した「赤石温泉白樺荘」と同じく管理は静岡市井川観光協会。なんでも静岡県は南アルプス一帯を世界遺産に登録するのを狙っているらしいが、これだけの懐の深い山系を抱えているとあらば決して夢物語ではないかもしれない。
残る百名山のうち南アルプスでは、今回行けなかった「光岳」、そして、今回よりまだまだアプローチに時間の掛かる「赤石岳」「荒川岳」はいつ登れることやら・・・・

それはそれとして、その観光協会お薦めの温泉「口坂本温泉」に下山後向かうが、観光協会のイラスト地図ではすこぶる近所でそこまでの道もまっすぐに描かれているが、実際は曲がりくねった山岳林道を30分以上走ったところにあり、「やられた!」と感じた次第。
温泉は素朴な田舎の憩いの場的ないわば秘湯で、入浴料280円がうれしかった。