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2009年9月6日日曜日

尾瀬の初滑り?

8月29日、もうそろそろ観光客で一杯のゾッとする光景も収まっただろうと、突然思い立って福島側から尾瀬に向かう。日本百名山の「燧ヶ岳(ひうちがだけ・2356m」と「会津駒ヶ岳(2133m)」に登ろうと向かう途中の東北道で、すでに冷たい雨が降り出し、登山口の御池ではしっかり雨具を装着しての出発となる。
尾瀬の風景の写真に、とってつけたように出てくる木道、もちろん湿原の動植物への影響を考えての設置だろうし、風景としてはそれなり美しい姿を見せるが、この木道が雨の日には、誰がこんなものを作ったんだ?ちょっとは考えて作れ!とわめきたくなるほど、つるつるのアイスバーンと同じような状態になる。金沢弁でいえば「きんかなまなま」ならぬ「木がなまなま」雨は激しくなり、視界を霧が覆い、季節と天気でこれほどにもなるのかと思わせるように、人が誰もいなくなる。なんだか、仙人がひょっこり出てきて手招きしそうな世界。

体が寒くならないうちに登ってしまおうと焦ったところで、見事に滑ってしまい、しっかり足首をひねってしまった。翌日は会津駒ヶ岳にと思っていたもくろみはあっさり消えて、それでもとりあえず百名山74個目の登頂。

 



ワインとMikanの話

 そもそも弱いくせにお酒は好きなのだが、食事の場合「最高の美食は空腹!」と思っているのと同じで、最高の美酒は喉の渇き具合と強いて言えば原料の味がするかどうかで決まると思っている。
だから、どこ産だの、どのブランドやシャトーで、何年ものがどうのこうのと、うんちくをたれているヒマがあったら、さっさと渇きを癒すために喉に放り込め!という育ちのわかる節操のない飲み方しかできない。ビールは麦の香りが口に泡立ち、日本酒は米のふんわりとした味がして、芋焼酎は芋のほのかな味がして、ワインは、おおブドウ君じゃないか君は!と思えるものがいい酒だと勝手に信じている。
 さて、話は今年7月のはじめまで遡るが、ドイツのワインがふんだんに飲める地域に滞在した。残念ながら、過去にドイツに数年滞在していたものの、ほとんどがビールを普段の飲み物としている地域バイエルンでの生活だったので、ドイツワインが美味しいといわれても何ともピンと来ないのが正直なところ。ただ、たった一度、スイス国境とフランス国境に近い町、ドイツワインの産地でいえばバーデンワインの南限に1ヶ月だけすんでいたことがあり、何とその時期はちょうどワインの新酒まつりの時期で、毎日町のあちこちに出ているワインの屋台で飲んだくれていたことがあるが、町を取り囲むブドウ畑のブドウ達が「いつのまにかこんなになったか!よしよし・・・」と新鮮さだけに感動して飲んでいた。
 
 そんな私が、ドイツワインの本場「ナーエ地方」の町バード・クロイツナッハ(Bad Kreutznach)で開催された州(ラインラント・プファルツ州)の祭りに、和歌山から乗り込んできたコーラス団のあやしいオマケとして2泊3日を過ごしたのは、貴重といえば貴重な体験。
ナーエ地方はモーゼル川とライン川にはさまれたナーエ川流域で、鉱石や宝石も産出するような土壌で色んなバリエーションのワインが楽しめる、とものの本には書いてあるが、私には安くて旨ければ文句なし!
その和歌山のコーラスグループ「Mikan」は、私の見る限り平均年齢50才は超えてはいるが、一年間この日のためにと練習を重ねた成果は、はっぴと浴衣に包まれて燃えるような塊となって、公演会場のホールの観衆を釘付けにしたようだ。その上、地元のゴスペルチームとのジョイントステージもあり、前日に一度だけリハーサルをしたとは言え、これがまた、洋と和の絶妙なバランスで、歌が披露され、鮮やかな浴衣姿と白一色のステージ衣装の競演に拍手喝采で無事文化交流も成功。なにせ、和服姿の団体がいること自体、町の注目の的で、それが州のそこら中から祭りのためにやってきた人々の目にも鮮やかに映り、公演後はヒーローとヒロイン状態で町のあちこちから声を掛けられていた。
翌日の地元の新聞には「うなり声とハーモニー」というタイトルでソーラン節を歌ったときの様子が大見出しで載っていた。





利賀村の一夜

ブログは本来日記のように日々を記録していくはずが、なかなか出来ないものというので、これは記録しておかなくてはと思って溜まったことの連続。
 まずは8月22日(土)に富山の南砺市利賀(旧利賀村)で開催された、SCOT Summer Season 2009の演劇『廃車長屋のカチカチ山』
劇団「SCOT」(SUZUKI COMPANY OF TOGA)はその名の通り演出家<鈴木忠志>率いる劇団で、その活動拠点を富山の山奥の利賀に移して30年以上になるとか・・・・そういえば初めて『利賀フェスティバル』を観に来たのも学生時代のことだから、それくらいからやってるんだなあ、主幹の鈴木氏もさることながら、その頃からいる劇団員も老体に鞭打ってを感じさせるくらい、頑張ってわめいている。私が見る限り極めて肉体派の芝居を、マイクなしでわめいて表現する劇団で、団員も国際的なら活動も海外にまで広がっている。ふるさと創生の話に乗ったり、地域の援助やスポンサーを募ったりで大変な時期もあり、ここ数年、毎年必ず届いていた『利賀フェス』の案内が来ないなあ、とは思っていたが、久々にSCOTの文字が大きくタイトルアップされた案内が届いた。大小合わせて9個ある舞台を使い開催されるプログラムのうち、地元の人も海外からの観客も、待ち遠しくて仕方のないのが野外劇場でのステージ。これまではこの屋外ステージは『世界の果てからこんにちは』という芝居がメインだったのだが、今回は再出発の意味を込めて新作『廃車長屋のカチカチ山』での公演。

この野外劇場での最大の呼び物は劇中に惜しみなく打ち上げられる花火と懐かしい歌謡曲数々(特に島倉千代子の「からたちの花」は最高だ!)に乗って表現される芝居。

パンフレットにあった新生SCOTの目標とするところ。①日本ではまだまだ成立したことのない多国籍国際劇団を作り活動すること。②そのために国際交流ではなく国際化した地域の成立を目指し、施設を改善し新しい運用ルールを作ること。③そのことを通じて、国際化時代における芸術文化活動の未来に先取りした成果を、世界の芸術文化に携わる人たちに示すこと。開演の鈴木氏の挨拶に会場のあちこちから「死ぬまでやれ~!」との声が飛んでいた。
そうそう、忘れていた!野外劇場での公演のもう一つの楽しみは樽酒の振る舞い。公演後ステージには大きな樽酒が二樽。ギリシャの姉妹都市の市長と南砺市市長による鏡割りと共に来場者に一斉に振る舞われた。入場の際にプログラムと一緒に紙コップが配られたのはそれに使うため。