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2013年7月25日木曜日

特等席で生ビールを!西穂独標(2,701m)まで

 山に登っていて、自分の呼吸の乱れが気になりだしてきて、
「まだかいな~、ふ~っ」などと言葉が出てくると、いつもイメージするのは、まずは単純なリフレインのあるような音楽、例えば「ドラえもん」だったり、水戸黄門のテーマだったり。
 そして、次にイメージするのは渇いた喉にズズ~んと浸透してくるビールの流れ。
そうです、ドラえもんを口ずさみながら、早くビール飲みたい!と唸って、もうすぐだ、頑張れ!あと標高200mでビールが飲めるぞ!と自分に言い聞かせていたりする。

 さて、今回の山登りはすばらしく良い天気で、山小屋の前には「生ビール冷えてます!」の看板。
全くもって、いけない山小屋ちゃんだね、ここは。
はい、数少ない通年営業している山小屋「西穂山荘」です。
目の前に笠ヶ岳、
その左側奥に白山連山がくっきり見えて、
ほぼ90度視点をスライドさせると焼岳、その後ろには乗鞍岳。
向かいの霞沢岳の麓には上高地・大正池が見える。

新穂高ロープーウエイで、20分ほどで西穂高口に到着。
そこから歩くこと1時間ちょっと、ほどよい汗をかいて、この西穂山荘に着いてしまう。
これだけの風景があれば、後はビールしかない!

と、その前に、行けるところまで行かなくてはと、ひとつ上の丸山に向かう。
人がわんさか小屋の前にたむろっていて、早くしないとビールが売り切れてしまう!

「じ~んせい、らくありゃ、く~もあるさ~・・・」と登り、やがて西穂高に向かう尾根道になり、谷底には上高地のバスターミナルに並ぶバスの姿も見えてくる。
そして、西穂丸山到着。
とりあえず、抱えてきた食料を減らさねばとランチタイムになる。おばちゃんグループもどやどやとやってきて座り込み、みんな弁当を広げ出す。
 とその時、周りの人たちが私の後方をしきりに見て、なにやら感嘆の言葉を発している。
そのうち、カメラを片手に立ち上がる人も出てくる。
ぬあにぬあに?と今ゆで上がったばかりのソーセージをくわえながら振り向くと、このシーンが目に飛び込んでくる。
わかるかな?焼岳の上に地球の重力に逆らうように虹が出ていた!
誠に不思議な風景である。
もしかして、今なお噴煙を上げ続けている焼岳が噴火するのではないか?
んなわけないか・・・
と再び登ることに。
同行の何人かはこの360度すっきり山、山、山の風景を見ただけで満足してしまい、えっ、これからどこまで行くの?あの上まで行くの?え~っと言い出す。
私も実は売り切れないうち小屋に戻ってビールが飲みたいのだ。

尾根道が岩場になり、張り付くような傾斜になってくると、ほとんどこんな岩場を経験したことのない同行のメンバー達は、無言になりひたすら下を見ないように必死になってくる。
でも、みんな頑張ってどうにか西穂独標にたどり着く。
 
心なしか顔が引きつっているような・・・・

 
 
ここに来たのは2度目だが、こんなに狭かったかな?と思わせるくらい登山者が一杯で、
立ち上がると崖下が見えてふらふらしてくる。
本当はこの崖を下って先に進み、西穂高頂上まで行く予定だったが、同行のみんなすでに来た道をどうやって下りればいいのか、落ちたら確実に死ぬねなどと心配な表情。
その不安な表情に「さて、ビールが待ってるぞ!」と気持ちをそっちに持って行って、どうにか下山。

 小屋について、さっさと登山靴を脱いで、待ちに待ったビールにありつきにんまり。
 
小屋から見える夕陽と月を肴にビールの次は日本酒の升酒へ。



そして、翌朝のご来光をと起き出すが、前夜飲み過ぎたせいか、ちょっと高山病のような気分。
それでも再び丸山まで登り、朝日に浮かぶ焼岳と乗鞍の姿を拝む。

そうそう、高山植物もちらほらと

 キヌガサソウ
 ゴゼンタチバナ
 サンカヨウ
ハクサンシャクナゲ

2日間で全行程約6時間の歩き。
下山後に入った温泉で計った体重は登る前より多くなっていた。
まあ、たまにはそんな山登りも良いよね。