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2012年3月9日金曜日

文明一大歩 雨の上海


何度も出かけていると、新鮮味が無くなり、その上2年前の万国博覧会を契機にドンドコ高層ビルが建ち並び、レゴのブロックみたいに次々出現するそれらのビルに、「このビル今崩れてきたら大変だよな・・・・」などと見上げるそんな町になってしまった上海。

今回の滞在の目的の展示会は、浦東空港から荒涼とした原野を走るリニアモーターカー?(浮磁と中国語では表現されている)で約7分で乗換駅に着き、そこから地下鉄でひと駅の会場で開催なので、このあたりはまだ見上げると首が痛くなるほど高層ビルはない。
などとのんびり思っていたが、ありゃりゃいつの間に、と気がつくと展示会場の周りにもショッピングビルができていて、「無印良品」もあれば「カルフール」もあり、当然という感じで「味千ラーメン」のにおいも漂ってきている。

今回の展示会は、雑貨から繊維衣料、宝石からLED製品まで、何でも来い!といういかにも中国らしいと言うかおおざっぱというか、節操がない展示会でこんなに何でもあっていいのか、と思わせる。
日本もいろんなものを廉価という要因だけで中国で作らせるようになって久しいが、相変わらず手抜きのものが多く、どうしてこんなものまで作らせるのだと情けなくなってきたりする。
ここ数年、日本ではいわゆる「百均ショップ」で並ぶようになった正月のしめ縄やらお飾り。
誰が発注してその装飾を指示しているのか知らないが、妙にごてごてしていて、気持ちを新たにする新年のものとしてはどうみても興ざめがしてくる。
これを飾る日本人は、飾りを構成されている部材がすべて古来より意味を持っているとは全然知らないのだろうな。大切なのはそこなんだがな・・・・

と思っていると、なななな~んと神棚まで中国で製造していた!

この罰当たりものが!と喚きだしそうになったが、売っている方は高く売れればそれで問題無し、
「よく売れてます!」とちょっと複雑な笑顔で答えていたが、木材の種類を聞いたけど「非常に高価な木から作った」とのこと。
安いならこしたことはないから作るんだろうが、せめて日本で売るときは「中国製」としっかり表記してもらいたい。おそらくシックハウス現象に侵され尽くして慣れた方々がお買い求めなのでしょう。

東京ビックサイトの東館の建物と同じような建物が10個並んでいて、歩いているうちにだんだんあほらしくなって疲れてきたが、おかしなことに、会場のどこを歩いても日本語が聞こえてくるんですよね。
まだまだこんなものに飛びついて買い付けに来る日本人がわんさかいて、これはとことん中国人にしゃぶり取られるなと感じることしきり。

さて、一息ついてはばかりにでも行くかとトイレに向かい、用を足そうとチューリップ型便器の前をみるとこんなものが貼ってあった。
日本で言うなら「もう一歩前へ!」という具合の忠告だろうか。
どう読めばいいのかわからないが、一歩小さく前に出れば、それが文明の大きな一歩になる、といい感じかな?

理想と現実がこれほどかけ離れている国も少ないでしょうね。
並んで用を足す中国人も、満員の地下鉄でひしめき合う中国人も、その多くが一人っ子だと思うと、ちょっと寒気を感じるが、大きく踏み出す一歩がてんでんばらばらな方向で、この国はますます膨張していくのだとひしひしと感じ、放尿後の身震い一つ。