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2012年12月19日水曜日

チェンマイの休日

これからますます寒さは増してくるだろうというこの季節に、
暖かなタイへ出かけるのはちょっと申し訳ない気もしたが、チェンマイの町には念願のリベンジの意味もありフラリと出かけてきた。

確か24年前、このタイ北部の町に滞在する機会があったが、
なんと!その時は「あ~ら、いらっしゃ~い!」という感じでしっかり水の歓迎を受けて、
丸二日、上からも下からも洪水状態で、ホテルの部屋でのたうち回り、トイレとベッドの往復が面倒なので、枕をトイレに持ち込んだほど壮絶な記憶がある。
そんな感じの滞在だったので、全く町の様子もわからず、今回ガイドブックで町の地図を見て、
「えっ?城壁とお堀に囲まれた町なの?全然知らなかった」とビックリしてしまったほど。

成田発の便でバンコクで乗り換えし、チェンマイ空港に到着したのが夕方で、
いかにも地方の町という感じが、空港出口の夕闇にも漂ってくる感じ、
タクシー会社のカウンターでタクシーを申し込んだが、順番から言っていつ来るのかわからないようなのんびりさ。
とその時、たまたま宿泊予定のホテルのワゴン車が目の前に現れた。
送迎車で宿泊客を空港に送ってきていたもので、このさい先の良さに「この旅はなんだか良い旅になりそうだ」とうっすら微笑んでしまった。

城壁で囲まれた旧市街のちょっと外側に位置する場所に多少古さは感じるものの煉瓦作りの涼しげなホテルが滞在先。
ちょっと「ぎょ!」と思ったのがベッドやバスルームにある壁の絵。
この後で気がついたのだが、ホテルは怪しげなネオンのバーや、本当にマッサージだけ?と思わせるようなマッサージ屋さんが軒を連ねる地帯にあり、この絵も環境を考えると何となくわからないでもない。


とりあえず初日はホテルから徒歩10分くらいで着いてしまったナイトバザールの通りをひとしきり歩き、怪しいバーにたむろするヨーロッパ系のおじさん連中の騒ぎまくる姿や、ムエタイの小さなスタジアムの客引きの声、シルクとコットンの色鮮やかな生地がそこら中に並べられた屋台の店、喧噪と町の雰囲気を体にしみこませ、おとなしく壁の絵に見守られて、ゆっくり寝ることにする。

二日目の朝、日曜日だと言うこともあり、昨夜のネオンと騒ぎが全くの別世界の思えるほど静か。

熱戦の繰り広げられたムエタイのリング

ナイトバザール定番の屋台の店はこんな風に片付けられ、道ばたにずらりと並んでいる

ネコも朝の日差しに気持ちよさそう

この町では交通の一番の手段は三輪バイクタクシーの「テュクテュク」(トウクトウクと表記してあるが、こんな風に聞こえる)
朝から派手な衣装でこれからイベントにでも出かけるのか、テュクテュクに乗り込もうとしている女性。ミス何とか、のたすきがけ。
ちなみにテュクテュクは乗ってみたらこんな風な風景になる


ナイトバザールの通りを抜けて「アイロンブリッジ」というピン川を渡る殺風景な橋が見えてくる

日差しがだんだんきつくなり、日陰を求めて小さな道を抜けていくと、小さな市場と商店街に出会う。
お寺へのお供え物だろうか、大きな線香と並んで売っている。

これはなかなか考えたな、バケツに穴を開けて素焼きの生地を塗り込んだ簡単なコンロ

そして、鉄板の廃材を利用したねずみ取り器

そろそろ、ちょっとおしゃれなショップやギャラリーのある通り「チャルーンラート通り」なのだが、
道行く車の巻き上げる埃のせいかどこが店だかよくわからない。
有名なタイシルクの店も表からはこんなすすけた感じ。
中に入ると、どこの店も陳列された商品の向こうに日本建築の町屋を思い起こさせるような庭がある。
 
 

中にはこんな色彩のモニュメントを置いた店もあり
 
 
お菓子を缶ごと売っている店もあり、色鮮やかなウエハース菓子などにそそられる

 
歩き疲れたので日陰のレストランでシンハービールと「カオ・ソーイ」
ココナッツ入りカレースープのラーメンの中に鶏のもも肉一つ、その上に揚げた麺がのっている。

ほどよく酔いが回ってきたところで、ホテルに戻り昼寝。
夕暮れが近づいてきた頃に今度は城壁の内側の「サンデーマーケット通り」に向かう。

城壁の門を抜けると、まだあちこちに古い建物が残っていて


屋台の並ぶサンデーマーケット通りに出て、いきなり目に飛び込んできた「かねもち」なる色鮮やかな餅の饅頭

ウズラの卵焼き屋さん。食べ物屋ではすこぶるこの卵焼き屋が多い。
旨そうではあり、子供の頃近所のお好み屋でよく食べたな、などと思ったが、
どんな油を使っているかわからないのでパスする。

お寺もそこここにあり、これは「ワット・パンオン」だったかな?なにしろ金ぴかの仏陀のよくあるシーン。

通りの牛のモニュメント。なんだか色んな店の売り出しの札がぶら下げられている

ちょっと大きめのお寺「ワット・パンタオ」
仏陀も静かに鎮座している
 
続いて、ガイドブックにもしっかり載っている「ワット・チェディールアン」
金ピカピカの中、ちょうど若い修行僧たちがお祈りの時間
 
 
さて、マーケットに戻ると、これまたカラフルな豚まんだか肉まんだかの蒸しまんじゅう屋

そして、これまた色とりどりすぎて着色料の原料が気になるキャンディー屋
広場では人形を操る人
座り込んで演奏を始める盲目の楽隊

観客席も人がいっぱいで、仰々しいセレモニーの後、鍛えられた筋肉の選手たちの気合いが入って、さて何のスポーツが始まるのかと待っていると、それが何だかよくわからない・・・、
道具もボールも使わない陣取りゲームのようなもので盛り上がっていた。
なにしろ、夜が更けてくると通りにも広場にも人がわんさか出てきて、
まだまだこの町の夜は続いていくみたいだが、
私は歩き疲れた足をほぐしてもらいにマッサージ屋に向かう。

2012年11月4日日曜日

琵琶湖から白山を。すごい名前の山『金糞岳(かなくそだけ)1,317m』

 紅葉に執着するわけではないが、これまた秋の風景。
今回の山、山岳会に参加し始めた30代の頃から気になっていた山で、名前を聞くと「ちょっと、何だかくさい山だな・・・」と思っていた『金糞岳』

ものの本によると頂上から白山も、御岳までもきれいに見える!とあったので、くさいながらにやってくれる山ではないかと出かけてみる。
長浜の町から琵琶湖を背に山に向かうと「浅井三姉妹の里、小谷城」などという、大河ドラマ時代の遺産みたいにのぼりや看板があちこちに出てきて、近江高山キャンプ場にたどり着く。
そこから山道、といってもきれいに舗装された林道だが、20分ほど走り「連状口」という登山口の駐車場に着く。紅葉を求めてくる人にとっては、ここで充分その色彩の美しさは堪能できるように感じる。


登山口は道路の脇のあっさりした階段。
小高い山を一つ越えて出てきたのがこの看板。
「お~っ、小朝も一門をまとめることになったか・・・」などとつぶやいて、
正面に目的地金糞岳の姿が見えてくる。

今度は小朝じゃなく大朝。なぜか馬風の顔が浮かんできた・・・・
それはそれとして、
だんだん紅葉の色彩の中に自分の体が溶けていくような錯覚になるほど、そこら中に色とりどりの風景が現れる。

紅葉の山肌の脇に、かすかに、それでいてひときわ目立って雪をかぶった山がちらちらと見える。
車で林道を相当登ったちょっと手抜きの登山口から、およそ1時間半で頂上に到着。
賑やかに登頂記念のプレートをぶら下げていく人が多いようだ。
麓の旅館が寄付したという石碑の向こうに白く雪をかぶった山がはっきりと見える。
白山だ!
右に別山の姿もしっかり見えて、琵琶湖近くから見たらこんな感じなのかと改めてその美しさにみとれる。
金糞岳頂上から笹藪の道をもう少し、隣の山『白倉岳』方面に歩くと、尾根の反対側に琵琶湖のほぼ北半分側が見え、竹生島が浮かんでいるのも見える。
 
下りは改めて日を浴びて輝く紅葉を眺めて、
麓の村の「白龍の水」という遙か夜叉が池に源を発するという湧き水を飲み、

お市の方もしばしば湯治に訪れたという須賀谷温泉に浸かって帰路につく。

2012年10月29日月曜日

紅葉を愛でるのんびり登山 『銀杏峰』(げなんぼ)1441m


  10月27日、当初は紅葉を観に行くならここに限る!と決めていた福井県大野市にある『苅込池』に行く予定だった。数年前、真っ盛りの時期に池の水面に映る紅葉の色とりどりの風景に感動して、しかも人もまばらで、静けさがしっかり体を包んでくれたのを覚えていた。

ところが今回は様子が一変していた。前夜たまたま観たNHKの全国ニュースで、「紅葉のすばらしい、福井県大野の苅込湖」と紹介され、ちょっといや~な予感がしていたが、見事に的中!それだけが理由ではないだろうが、池に向かうための駐車場手前数キロから大渋滞。
理由には、春先から土砂崩れの復旧作業のため、林道は閉鎖され、池に一番近い駐車場までは行けず、その手前の鳩ヶ湯温泉の小さな駐車場から迂回の山道を歩かなければならないということもあるようだが、これまたえらく時間の掛かる復旧作業である。
工事現場の係員か駐車場のにわか整理担当だかわからないが、全く前に進まなくなった車に「そうだね、ここからだと駐車場まで2時間かかるんじゃないかな」とあっさりとのたまっていた。

ということで、細い道で前も後ろも進めなくなる前に退散!
ガソリンスタンドでもらった「大野ガイドブック」を広げると、前から気になっていた山の名前が出てきた。誰がどう呼んだのか『銀杏峰』で「げなんぼ」
ナビによるとその登山口まで20kmくらい、ひっそりとした宝慶寺いこいのもりキャンプ場を抜けて、林道が砂利道になった頃に登山道に着く。
駐車スペースには先客さんの車がたった2台。

今にも崩れて倒れそうな鳥居がこのコースの登山口

回りの紅葉が静かに体を色づかせてくれるような雰囲気の登山道は、一度林道を横切り、標高850mの立て看板。「鉱山跡石垣」と表示されていて、石垣はどこじゃいな?と脇道を進むと、それらしいところが。でも、いったい何の鉱山なのかがわからない。


登るにつれ、だんだんと足下に木の実が落ちてたまっているところが次々と現れる。

そんな登山道がなだらかに続いていく。
ブナの木だと言っても、残念ながら落ちている実はいわゆるナラ系のドングリばかりで、トゲトゲの甲羅に身を包んだブナの実は一つとして見あたらない。

紅葉のトンネル

振り向くと隣の山は一面色とりどりの紅葉。その向こうに大野の町が見える。


「この先急登です」の表示があり、一汗かいて登り切ると、はっきりと間違った表示、「海抜約1300m」だからその約の中に含まれるのかな?の標高1400m地点。

尾根が平になってきて「極楽平」の平地から頂上の小高い山に向かう。
頂上の祠に到着。回りは高さの同じような山が360度見えているのだが、
かすんでいて白山までは確認できなかった。
風がすこぶる冷たく感じる。
登山口から約1時間半、出会った登山者は全部で6人。
全員元気そうなおじいさんおばあさん。
のんびり、それこそ愛でるという言葉をかみしめて登る山のようだ。

春は片栗の花が登山道のそこここに群生しているとのことで、
秋のドングリと落ち葉を踏みしめての時間とはまた別の味わいがあるのだろうと感じる。