今回は朝早くに上海駅に行き、これまたちょっと前なら「そんな危ないものに乗って大丈夫か?」と聞かれる中国の新幹線『和階号』(車内放送では「ハーモニー」と英訳されていた)
どう見ても日本の新幹線のパチ物か「お古」と言った雰囲気。
長年付き合ってきたものの、日本の製造業の中国離れと同時に、あまり儲けの多くない日本市場での取引より、中国国内需要のカバーの方で充分利益があるという風潮や、その現実的な戦略を進める中国企業が増えているように見受けられる。
今回訪問した会社も10年以上の取引関係にあるが、南京の駅にお迎えに来たのは担当者のお姉さんだけ。加えて、マニュアル通りに会社の玄関受付横の掲示板にはお迎えの言葉があるだけで、迎えに出てくる人もいない。まあ、こんなものかと改めて感じる。
お互いそれほど魅力を感じなくなった会社同士の商談はあっさりと終わり、初めて観光らしいことができるかなと、日本で買い込んだ一冊の本を取り出した。
『中国 詩心を旅する』著者は元首相の細川護煕氏
この本の中にはかつての都だった南京の寺院や古刹がたくさん収められており、杜牧(とぼく)という詩人の歌とともに紹介されていた鶏鳴寺のページを開き、お姉さんに「ここ行きたいが知っているか」と聞くと、「聞いたことはあるが行ったことはない」との回答。
まあ、東京に住んでいて浅草寺に行ったことがない、金沢に住んでいて大乗寺に行ったことがない、という若者と同じ感覚だろう。
文化人らしいなかなか良い感じで細川元首相は写真に収まっている。
それなりの観光スポットのようで、寺の正門に続く道は桜並木は、「あら、中国人にも桜がきれいだという気持ちがあったのか?」と驚くくらい人々がほぼ満開の桜の風景を撮していた。
黄色い壁が特徴的な大きな寺で、大きな塔を中心にいくつものお堂があり、色んな仏や神様が鎮座しているゴテゴテギラギラの世界。
しばし石畳を歩いていると、おっ!この風景はあの細川元首相の映っていたシーンではないか!
ポーズを取ってみるが全く様になってない(笑)ただの腹の出たオヤジだ。
同行の通訳の方に、こちらの像が私に似ていて、ここで写真を撮った方が良いと薦められた。
その通りである!
ついでに近所にあるという以前から上海の展示会に何度も足を運んでくれている方のお店に伺う。
日本語の上手な彼女が言うには、南京で本物の日本の鉄瓶や火鉢、五徳をおいてあるのはここだけだとのこと。
そんな本物志向の中国人と、詩心をわかってくれる中国人が増えてくれることを願っている。