Powered By Blogger

2009年8月17日月曜日

連日の百名山 ~仙丈ヶ岳・甲斐駒ヶ岳 2日目

 前夜、屋根にある電灯のスイッチを部屋中探したがどこにも見つからず、あきらめて夕闇を迎えたが、何だか強制収容所の起床点呼みたいに(といっても経験はないのだが)早朝というか深夜というか3時過ぎに、我々7名貸し切りの部屋(これだけは山小屋としてはいい待遇だった)部屋の電気が点灯され、こういう事かと感心しながら、8時間近くも寝たのはすこぶる久しぶりだとまたまた感心したりした。
夜明け近くに他の宿泊客は早々に出発して、さて、私たちもと登山靴を履いている頃に小屋のオヤジが話しかけてきた「こんなに遅くに大丈夫かね?甲斐駒は8時頃から頂上はガス(霧)に包まれるんだよ」「な~んと?早く言ってよね・・・」そんな記憶に残る仙水小屋を出発したのは5時10分。
 浮き岩ごろごろの道を進むこと20分で仙水峠に到着、目の前に甲斐駒ヶ岳の隣に立っている岩峰「摩利支天」が姿を現し、そこから急坂をゼイゼイ言いながら1時間半で駒津峰に到着、少し前から後ろを振り向く度に大きくなる北岳、間ノ岳と富士山の影と日本の高い山1着、2着、4着がそろい踏みで見えて、片や木曽駒ヶ岳、槍ヶ岳などのや穂高連峰の山々まで見渡せる絶景の場所。(写真の木に止まっている鳥は何という鳥かな?その後ろが北岳、間ノ岳)
そこから、目の前に立ちはだかる甲斐駒ヶ岳の巻き道を、足もとが砂に近い細かい石の道になり、甲斐駒ヶ岳(2966m)頂上に到着したのは8時40分。どうにかガスが登ってくる前に絶景が見れた。鳳凰三山とその奥に富士山。鳳凰山の尖った岩峰「オベリスク」もしっかり見えている。周りを見渡すと八ヶ岳・赤岳がすぐ近くに、遙か北の方に立山も見えていた。

標高2800mを越えると過去に何度か典型的な症状が出たので気になっていた高山病が来てるな、と感じたのは私だけじゃなかったようで、早々と頂上を後にして、下りは双子山を経由して、長い下りのジグザグを降りる。高校生以外の全員は疲労度もピークに達していて、時折、「あれは何か建物だ!」と幻覚が見えたりした(笑)
 このグループとはすでに3年以上同行させてもらっていて、登山の経験も豊富で植物や全国の山の名前もコースもすらりと出てくる強者ばかりだが、いつも最大の目的は下山後の風呂と酒と飯というグループで、私にとってはただ頂上をひたすら目指すだけじゃない楽しみが性に合っている。で、この夜は趣向を変えて、というより、この長野県伊那市、山梨県南アルプス市にまたがる南アルプスの地にまだ誰も宿泊したことが無く、唯一、私が過去に台風の夜、伊那市駅前のビジネスホテルに泊まったくらい。結局、ここしか近くになかったという感じで、30分車を走らせてもコンビニの見つからなかった山奥の村で、ホルモン焼き屋をやっている店が、別荘だった家を素泊まりの宿泊施設にしている『平家の里』という所に泊まったが、これが大正解!!長い下山道でも「今日は焼き肉とモツ鍋が待ってます!」と励ましの言葉にしていただけに、村の火葬場の横を通り、車のナビが表示する道が無くなったその奥まで行って荷物を下ろして、隣の廃屋を眺めて「今夜は平家の落人の亡霊が出るな・・・」などとつぶやきながらも、こんな山でよくぞここまで出来たと唸らせるホルモンをはじめ肉の新鮮さは七輪での焼き肉といい、中国の火鍋風の辛いのとそうでないのを仕切ったモツ鍋といい最高だった。お酒も焼酎をはじめ色んなものがそろっているし、デザートのアイスクリームも最高で、何よりも東京出身の若い店主のお兄さんと、元気で明るくテキパキ店を切り盛りする北海道・室蘭出身の奥さん。ここはまた来たいな、と思ってるのは私たちだけじゃないようで、八王子から来たという同じ所に宿泊した10人くらいのバイクツーリングのグループは毎年ここに来ていると言っていた。 今度は鳳凰山か北岳に登るときにまた来ようと思った。
終わりよければ全てよし、の百名山73個目の登山だった。

連日の百名山 ~仙丈ヶ岳・甲斐駒ヶ岳 1日目

 8月14日、前日の宴会のアルコールも抜けきらない深夜1時に金沢を出発し、南アルプス林道バス「北沢峠」行きバス停のある仙流荘の駐車場に到着したのは午前5時半近く。早朝にもかかわらず駐車場は半分ほど車で埋まっていて、6時の始発のバスに乗るため、すでに30人ほどの列が出来ていた。ちょっと大きめのマイクロバスに揺られて50分、仙丈ヶ岳と甲斐駒ヶ岳の中間点にある北沢峠に到着。この二つの山は、去年、一度麓の伊那市に前夜入りしたものの、台風が急接近し、やむを得ず登山を中止した場所で、快晴の空、リベンジにもってこいの日になった。
 今回は『白山の自然を考える会』のメンバーで登山好きの有志の会『光の会』の山行で、参加メンバーは医師、弁護士、教師、介護士、会社員と色んな業種の総勢7名、同行の弁護士ジュニアの高校生を除くと平均年齢55~56際くらいのグループだが、やっぱり高齢者の登山ブームだけあり、途中に出会うグループでは私たちは若い方だったかもしれない。
2合目、3合目と順調に進み、5合目・大滝頭に約1時間半で到着、樹林帯から高山植物の花々が多くなる頃、小仙丈ヶ岳に到着、
目的の仙丈の山を臨み、ここまで出発から丁度3時間。ようやくアルコールも抜けて、足取りも軽くなる。
さすが自然を考える会だけあり、高山植物の名前を次々と教えられるが、そんなに言われても覚えきらない、とつぶやきながら今日はこれだけ覚えていこうとデジカメに収める。
白く立ち上がった形の花は「トウヤクリンドウ」、青い花が「イワキキョウ」
ほぼお昼近くに仙丈ヶ岳(3032m)頂上に到着。
太古の昔、氷河が削り取った大きくてきれいにえぐれたカールの一つ「藪沢カール」を上から下から眺めながら樹林帯の下山道を進み、出発点の北沢峠を越えて、今度は反対側の甲斐駒ヶ岳への登山道にある本日の宿泊所『仙水小屋』に到着したのは午後4時半を過ぎていた。
「遅いから他の人が待っているんですよ」とせかされて、汗ふく間もなく夕食。いくつかのガイドブックではこのあたりの山小屋では「食事が一番美味しい山小屋」との評価が高く、単調に繰り返される下山道のジグザグも、この山小屋は登山口から近く食材も豊富なんだろう、それだけうまい食事が待っている!と頑張ってきたのに、出されたものは、特にこれまで経験した山小屋と何ら変わりもなく、出来てるものをただ並べただけという感じは食事の暖かみが無く、がっかりした。せめてもとビールでのどを潤そうと缶ビールのプルトップを空けるとき、「明日の朝食は3時半です!」と聞かされて、またまたびっくり!文句言うヒマもなく、寝不足の体は7時過ぎには寝入っていた。とにかく、百名山72個目を登った。