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2013年7月7日日曜日

光を求めて百名山No.94『光岳(てかりだけ)2.591m』

 6月22日、前夜、仕事上がりに東京を出てからJR飯田駅近くのホテルに到着するまで、高速も一般道も時折道路の先が見えなくなるほどの土砂降りだったため、今年初めての百名山新規登頂はお預けかなと半ばあきらめていた。
ところが朝、部屋のカーテンをおそるおそる引いてみると、何と昨夜の雨は嘘のように青空とうっすら白い雲。ホテルの朝食の準備なのかどこからともなく干物を焼くにおいが漂っていて、何とも言えないすがすがしい朝の風景ににんまりしてしまった。

 

 さて、登山口へ向かうとするか。今回は同年代3人での山行。
この光岳(てかりだけ)は昨年登ろうと準備していたものの、直前になり登山口までの林道が土砂崩れで通行止めになり、その上、その復旧作業中に作業員が一人犠牲になったとのことで、その先の登山道も通行禁止となったと光岳小屋の管理人さんからメールをいただき、急遽同じ南アルプスでも『聖岳』に変更したという経緯がある。
今年は林道は大丈夫ですとメールをいただいていたのだが、昨夜の雨でどうなっているかわからない状況でとりあえず出発。林道はさすがに途中何カ所か危ないところもあったけど、夕方から復旧工事に入るので通行可能。登山口の易老渡から近い聖光小屋の横にある便が島広場で荷造りし直し。
登山口横の駐車場には車がすでに数台あり、登山道の整備のためのボランティアの方も作業準備に入っていた。
登山口の橋
いきなり雨上がりの気持ちの良い森

結構きつい坂をひたすら登り「面平」

ところどころに鹿の足跡があり、木々の新芽を探しにあちこち歩き回っているのだろうか。
倒木帯やシダ類の多いひんやりした森などを進む。

キノコやギンリョウソウがあちこちに顔を出している。

時折こんな看板が掛かっているが、距離を見ると「え~、まだそんなにあるの」とげんなんりしてきたりする。
歩き出して3時間を過ぎると、ちょっと植生が変わってきたようで、コイワカカミなどが時折群生していたりする。

回りがそれほど視界の良くない標高2254.1m地点にある三角点。
何も見えなくても、4時間近く歩き、このあたりまで来ると何か目印を見つけるだけでホッとしたりする。
尾根沿いの岩場のトラバース。足の動きが徐々に鈍くなってきて。

易老岳2354m頂上の広場に到着。登山口が標高880mなので、1500m近くを登ってきたことになり結構ゼイゼイと言い出し「あと標高差200m、2時間半で小屋だよ!」とお互いを励ます。
三吉平への道の所々に雪解けの水たまりというか池が出てくる。
のぞき込んでみたが小動物類の姿は全くなし。これからカエルがやってくるのかな?

谷筋に残雪の場所も出てきて、コバイケイソウらしき一群もまだ葉が小さな状況。
だんだん動きが鈍くなってきて、地図上で次の目標をと探すと
「涸れていることが多い」と表記された水場。涸れてないことを願って静高平に出る。
このあたりはお花畑のはずだが、まだ時期が早いようだ。
その代わり、水場の水は雪解け水が豊富に出ていた。
今夜の泊まりは山小屋とはいえ、まだ正式開業前に避難小屋として使わせていただくので、今回は食料とシュラフの分荷物が多く、この水場で明日の朝までの水を補充していく。
ここはハイマツ群生の日本最南端とのことで、ハイマツの次は残雪の道が続いてくる。
登れば360度の眺望、というイザルヶ岳との三叉路で木道が始まる。
もうばてばてで、今日中に360度の眺望を体験しに行こうというメンバーは一人もなく、
早く小屋で休みたい!に気持ちは集中。あの霧の向こうが小屋だ!
 
どうにか小屋に到着。ひたすら登山靴が脱ぎたい気分。
途中休憩も入れて、登山口から7時間半近く掛かってしまった。
オープン前の準備をする方がいたが、小屋はすこぶる新しくてきれいで、早く一杯やって寝るぞ
~!
ちなみに私たちと同じように光岳ピストンでこの小屋を利用したグループが3組いた。

6月23日早朝。
ご来光に昨日世界遺産の登録に正式決定した富士山が朝焼けに浮かぶ。

この日、下界からは曇り空で富士山は拝めなかったとのことで、私たちは運良く世界遺産登録初日の富士山に合掌。この朝焼けの光を求めて登ってきただけに感動ひとし。、

そして、小屋から15分の光岳頂上へ
久しぶりに百名山の頂上で感動。

小屋の横にある標識。
去年登った聖岳までここからだと8時間半か・・・去年はそのコースを歩く予定だったが、昨日の7時間ちょっとでしんどい思いしていて、その上を行く行程はやめておいて良かったと感じる。
 
昨日登らなかったイザルヶ岳頂上から遙か穂高連山もうっすら見える。
そして、一晩お世話になった光岳小屋
改めて、頭を雲の上に出す富士山を望む。
やはり富士山は登る山じゃなく望む山だな。
 

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