町の中心部の空洞化は、昔からある商店街がさびれていき、特に自動車を主な交通手段として利用する市民の多い地方都市では、郊外の大型ショッピング街に人が流れて行っているようで、戦災に遭ってないこの金沢には、貴重な古くからの町並みや用水や道しるべなどしっかりした町の「かたち」があったにもかかわらず、そこから人が郊外へ流出していくことは寂しい限り。街中に人を呼び戻そうと、行政は、古典的なハコ作りや予算消化型のありきたりな政策やイベントしかしないので、いい加減うんざりしているところに、今回の地元商店街や市民団体が手がけるイベント。中学生や高校生のブラスバンド部という比較的溶け込めやすい音楽の世界を継続して昇華させているアマチュア、プロのグループがこの18の会場でさり気なく演奏をして、買い物や散歩のついでに、ドーナツをかじりながらだったり、紙コップのビールを片手にだったりと観客が集まってくる。
近江町市場や21世紀美術館、前田利家を祀る尾山神社や金沢の玄関口金沢駅の「もてなしドーム」など観光ポイントにも数カ所会場があり、市内地図を広げながら歩く観光客達も、なかなか粋なことやってるなあ、という感じで立ち止まって見ていたりする。人々はその音のするところへと、表通りだけじゃなく、金沢独特の細い路地を歩いていき、こんな道もあったのかと町を再発見していく・・・・また、ライブの余韻を抱えて、プロの演奏するコンサートやライブハウスに人は流れ、ついでに一杯やっていこうかと、夜の町に繰り出す。ここ最近若い世代が古くからの飲み屋街を変化させていっているので、ここでも色んな発見が生まれて、自分にあった世界を見つけ出していく。
こんな発見の中で、どこの町へ行っても、ファミレスと紳士服屋、コンビニに大型ショッピングセンターと同じ風景しかない郊外から「面白い」と感じ、自らが参画し、色んな出会いのある空気を吸うために街中に戻ってくる。ヨーロッパの町を歩いているとごく自然に思えるそんな生活形態が日本各地にも戻ってくることは嬉しいことだ。
ちなみに私がはしごしてみてきたのは、繁華街の一つ裏通りの用水沿いの「香林坊にぎわいわい広場」での地元「金沢大学モダン・ジャズ・ソサエティ」デパート大和の4階高級婦人服売り場の特設会場での京都大学のユニット、能舞台でやるのかなと思った尾山神社では、前田利家の赤母衣姿の銅像の横の特設ステージで「早稲田大学ハイ・ソサエティ・オーケストラ」「慶応義塾大学ライト・ミュージック・ソサエティ」「京都大学ダークブルー・ニューサウンズ・オーケストラ」の面々。そうそう、全て無料。
1 件のコメント:
行って来ました!
早川云々&STslings?と同志社大のセッション、および日本学芸大学の”チャンチキトルネード”。これはもうプロ級でした。CDもあり。
竪町の通りにカフェの如く椅子とテーブルとパラソルがちらばり、老若男女寄ってたかって、飲み物片手に休みながら楽しむ風景はとっても自然な感じでした。いい企画!ミュージシャンもとても楽しそうでしたが、そのはず。金沢では宿泊代、交通費が出るそうで、他の町でやるときはどうも違うらしい。演奏者、観客両方が幸せになれるのが一番!
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