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2010年2月7日日曜日

ひまわり畑と潜水艦

 とある映画館から、会員期限が近づいていて更新の時期だという案内が来て、久しぶりにこの客席200余りのこのこぢんまりしたミニシアターに出かけた。
 先日、異業種交流会の宴会の席で、私よりはるかに年上の方々が、口々に最近見た「大ヒット上映中!」とかいうアメリカ映画の話をしていて、何でもその映画監督、前回の大ヒット作から12年ぶりの作品だとかで、その手のコマーシャル戦略にまんまと騙されて、慌てて駆け込むたぐいの映画を観に行く人の気持ちが理解できない私は、「そんなに良かったんですか?」「それで、その主人公の顔には笑窪がありましたか?」と聞いてしまった。私としては冗談として言ってみたのだが、「何のこと?そこまでしっかり見なかったな・・・」と妙に真剣に記憶を辿っているようなお答え。ちょっとやり過ぎたかなと思ったので、「あばたも笑窪って云うじゃないですか」

 まあ、そんな感じで大手系列の映画は、特にアメリカ映画は、広告にコストを掛けるほど、期待はずれの作品にしか出会ったことがないので、ここ数年は観る気は全くしない。もっとも、反対に今回私が観てきた映画は、テレビゲーム世代やそれを子供と一緒に興じているような人種には全く面白くも何もない駄作でしかないだろう。

 さて、映画のタイトルは『ピリペンコさんの手づくり潜水艦』2006年のドイツの作品だが、舞台はウクライナのひまわり畑のまっただ中の小さな村で、言語はロシア語・ウクライナ語。ストーリーは至極簡単で、その田舎町に住む62才の年金受給のおじさんが、30年前からの夢である潜水艦を手づくりで完成させ(完成したと信じていたといった方がいいかな?)ひまわり畑から400km離れた黒海に潜るという話。田舎町であり、ついこの間までソ連だったところだから、部品もろくに集められず、当の本人も専門に学んだこともない軍人上がりの農家のオヤジだから、本当の手づくり。家族や村人にも半ば変人扱いされながらも夢を持ち続けてどうにか完成、その熱心さに村人も応援しだし、颯爽と出かけていくが、結局、この『イルカ号』進水はしたものの、ちょこっと動かしただけで色んな所が故障して、来年はもっとしっかり装備して出直すぞ!で終わる。
どこにもスリルも無ければ色気もないのだが、田舎のほのぼの間が、いつの間にか土の匂いが漂ってくるくらいホッとするものに変わるのを感じていた。


 それと、気に入ったのが,鑑賞者全員にチケットと共におまけとして配られた、何とも懐かしい紙で作るおもちゃ。子供の頃、毎月届けられる本のオマケにこのてのものがよくあったことを思いだし、工作用のハサミを駆使し、液体糊で指をべとべとにしながら作ってみた。



完成してみると、実にいい感じである!自分に笑窪があることに気付く、そんな一瞬だった。

ちなみに、この映画のキャッチコピーは「ちゃんと、いいかげんに生きる。」
なんと、『山形国際ドキュメンタリー映画祭 市民賞』を受賞しているそうな。

5 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

うちの社員の一人にその山形国際ドキュメンタリー映画際に毎年1泊3日?で見にいく社員がいます。毛色の変わった作品も見れて映画漬けになれるそうですが、きっとこれも見たんだろうと思います。その時もその付録があったのでしょうかねえ?

土産亭伍藍(みやげてい・ごらん) さんのコメント...

山形国際ドキュメンタリー映画祭のホームページを見るとこの映画は2007年の出展のようで、例のオマケに関しては記載はありませんでした。でも、10月のちょうどいい季節に開催されているようで、次回は行って映画漬けになってみたいですね。かつての夕張みたいに必要以上に騒ぎ立てない分じっくり見れるかもしれないですね。ちなみに次回は2011年10月開催のようです。

マーガレット さんのコメント...

いいなぁ、この工作キット。^^
キャッチコピーもいけてるねぇ。
好きだ、このセンス。

どこにでもいる誰か、どこかにきっといる誰か、のささやかだけれども、普遍的なドラマが好きだな。。。

匿名 さんのコメント...

最近は、ほのぼのとする映画が少ないの、この映画をお気に入りのお茶を飲みながらのんびりゆっくりと観て見たいですね。

潜水艦も良いかも知れないけど、ひまわり畑に惹かれますね。

土産亭伍藍(みやげてい・ごらん) さんのコメント...

なんでもないことを何でもなく表現するのが一番難しい、と夏目漱石だったがのたまったと記憶してますが、どこにでもある日常の中に「不思議」や「感動」はまだまだあるのではと思っています。