高円寺にこんなに素晴らしい劇場があるとはしなかったな~、というよりそもそも高円寺という場所に来たのが人生初めてで、ねじめ正一や椎名誠のようなごつい顔した輩が商店街を闊歩しているのかと、これまでちょっと近寄りがたい場所であった。
そんな高円寺の「座・高円寺1」での東京乾電池の芝居。タイトルは『長屋紳士録』
戦後の貧しい庶民の生活を描いた小津安二郎監督作品を舞台化したものだが、気になったのが金曜日の夜の公演にもかかわらず、客席238席のうち半分強ほどしか埋まって無くて、昔からの東京乾電池ファンの私にしては申し訳なくなるような入場者数。
それでも、柄本明やベンガル、綾田俊樹というそうそうたるメンバーが登場し・・・、そうか!もしかしたら、この最近ちょっと年を感じさせる大御所三人が、オリジナルメンバーとして東京乾電池の芝居に今も出演しているとは思わない人が多いのかな?それでこの入りかな・・・・などと考えながら開演を待っていると、入り口に寿司屋のネタの表示みたいに配役の名前がぶら下げてあった。
なんでも「本公演は、出演者の組み合わせが日によってかわります」とあり、「ダブルキャスト、トリプルキャストは他にもありますが、本公演はスクランブル(ごちゃ混ぜ)キャスト」とのことで、配役札は毎日違う風に付け替えられることになるのだろう。
なんとも不思議な、新しい試みに驚きながら「今回限りの生の面白さ」と唱った舞台を観ていた。
選んだ題材が小津安の映画というのは極めて狙い通りのネタだなと感心してしまった。
小津安の持つ画像の中の定点から見る「間」を、乾電池は舞台装置の定点から展開する「間」に置き換えていたように感じた。ほんわかほっとする芝居を観た。
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