毎年この時期になると、しっかり季節の言葉になりつつあるのが、
「そろそろ飛び出しますね・・・」
宇宙探査機でもなければ、ハイジャンプ期待の選手の話でもなく、
妙に小声でしかめ面で会話されるようになった花粉の話である。
思い起こせばおよそ25年前に、ふらりと散歩のつもりで行った鎌倉の源氏山、
「源氏山~から~きたかまく~ら~へ~♪」などと口ずさみながら春の陽気を額に受けて歩いていると、突然、鼻水が出てきた。
ありゃりゃ、昨日飲み過ぎたカナ?などとポケットティシュを取り出したが、次から次へとたれてくる。そのうち、ティッシュもなくなりハンカチを使うようになり、目もしばしばとかゆくなってきた。
「この野郎!」と思い切り轟音と共に鼻をかむと鼻血まで出てきてしまう始末。
これが世に言う(そんなもの言わないか)
『源氏山花粉症事始め』
以来毎年、忘れることなく症状は出てきて、25年ベテラン選手としては、妙に騒ぎ立てると花粉も偉そうな面をするに違いないと、最近は何ら処置をせずに、「慣れる」のをさり気なく待っている。
こんな時期に山に登るのか?と聞かれるのだが、それは逆療法の荒行事と決め込み、突撃するのだが、今年の特攻先は九州・太宰府天満に近い『宝満山』869m
山肌をスギの花というか花粉満載胞子と言うかのオレンジ色が一面覆う風景を時折見ながら、
福岡を車で出発した時点でくしゃみの連発で、セレブティッシュなどという柔なやつは一度かんだらもう使い物にならず、ごわごわトイレットロールを5,6巻きして何度も使えるように準備をしていく。
たどり着いた『竈戸(かまど)神社』駐車場から、かつての修行道だったという登山道を上っていく。なんでも、この神社は太宰府天満宮の奥にあり、知る人ぞ知る縁結びの神様のようで、うら若き女性の参拝客がちらほら見えた。
修行の山と言うだけあり、「殺生禁断」という何だか妙に物々しい石塔や「百段雁木」なる石段などが時折姿を見せて、たかだか標高870mくらいだとなめるんじゃない!と迫ってくる。
行者達のための寝床跡石室やいくつかの湧き水もありなかなか楽しめる山だ。
頂上の竃戸神社上宮からは遠く玄界灘がかすんで見えた。
かすんでいるのは、これはみんな花粉かいな?と目薬を差し直した。
下山後、竃戸神社では武道着を着込んだ一団が本殿脇にある社に柏手を打っていた。
なんでも『杖術発祥の地』とのことでその筋の武道家の祈願祭でもあったのだろうか。
その軽業で花粉も退治してもらいたいものだと感じたハナタレ登山の顛末。
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