太平洋側出身で、日本海側に住む多くの方から聞く言葉に、
「冬は雲が低く垂れ込めて、暗くて寒くて気が滅入ってしまう・・・・」というのがあるが、
そんな方には「絶対にヨーロッパには住めませんね」と回答しておくことにしている。
反対に日本海側生まれで、その同じ町に住む私には、冬の快晴で青空の太平洋側の天気は、落ち着かない上に嘘っぽい、まるで銭湯の壁画を見ているようで、湯冷めしそうな妙な寒々しさにおそわれる。
というわけで、体全体で冬を受け止めようと、およそ20年ぶりに極寒2月のオーストリアのウイーンに行ってくる。
日中でも氷点下10℃度近くで、朝夕は氷点下15℃以下にまで下がる凍り付いたような町に、昼過ぎに列車で到着。世紀末芸術と音楽の都に触れようと、まずは宿泊したホテルはとってつけたような名前の「ホテル ベートーベン」
近くには、午後なので半分ほどが店を閉めた市場「ナッシュマルクト」があり、ロースト肉と野菜を爆弾的にパンに挟んだギロスを買い、ほおばりながら歩き出す。
これまたすぐ近くには世紀末建築の代表格『分離派会館(Secession)』があったが、中は大改装中で、クリムトの壁画『ベートーベンフリーズ』の部屋しか公開されていなかった。
『造形美術アカデミー絵画館』で宗教画、『レオポルトミュージアム』でげっぷが出るほどエゴン・シーレの作品を見て、表に出ると夕闇とともに一気に襲ってくる寒気。
中国人観光客の団体が騒いで通り過ぎていった。
ヨーロッパの冬は観光施設が休館の場合が多く、もちろん花々が咲き乱れる庭園は雪や氷に閉ざされるし、屋外の彫刻類や噴水は低温による破損を防ぐためにカバーが掛けられることが多い。
音楽の都のオペラやオーケストラのコンサート類も開催の数が少なくなるようだ。
そんな中、なんだか「はとバスツアー」で花魁ショウを見に行くような感覚で「クアサロン」に足を運び毎日20:30からやっている、これまたとってつけたようなタイトルの「シュトラウス&モーツアルトコンサート」を観に行く。
予想通り日本人と中国系の観光客が半数を占め、今週は俺たちの当番なんだよね、愛想よくやるとするか、という感じの室内楽楽団が、当たり障りのない楽曲とおまけのようにバレエのさわりが披露される。
まあ、あらかじめチケットも買わずに突然行くのだからしょうがないかな。
市立公園の中は池も小川もしっかり凍り付き、飛んでくる鳥たちもぼ~っとしていると足下の水が凍って動けなくなるんじゃないかという感じ。まずはシューベルトの像。
「寒いのに大変だな・・・」と声を掛ける。
そして、いつも金ぴかのヨハンシュトラウス2世
公園を抜けて、ウイーン交響楽団の本拠地「コンツエルトハウス」の近くのベートーベン像
ほとんど訪れる人影もなく、みんな寒そうだった。
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