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2011年12月24日土曜日

デパートの風景


 世の中クリスマスという時期のようだが、クリスチャンでもなければ、サンタのプレゼントに心ときめかせる年の子供もいないと、そこら中に飾られる赤い色のものも、最近はどこもLEDになってきたきんきらのデコレーションも気にならなくなっている。
 せいぜい、年の瀬まであと数日しかないのかと再認識はさせてくれる程度の行事になってしまっている。

 そんな歳末商戦まっただ中に、年末のお届け物をとデパートの地下売り場、いわゆる「デパ地下」にふらりと出かけてみた。

 なんだか、ギョウザ焼きのオヤジや和菓子屋のお姉さんまでサンタの格好をしなくてもいいのに、などと鼻で笑いながら店を次々眺めていると、すごく懐かしくて思わず立ち止まって写真を撮りたくなったコーナーがあった。
 キャンディーやゼリー、クッキーの類をバラで大きな回転する容器に放り込んである、あのコーナーだ。カゴを手にそのカゴの中に好きなものを放り込んで、計り売りで清算するこんなお菓子コーナーがまだあったことに驚きながら、昔を思い出した。


 
 なにしろ、子供の頃はデパートと言えばこのコーナーが最高にときめいて、一緒にいる母親の顔色を覗き込みながら、今日はどれくらい買ってもらえるか算段し、下手すると知らん顔して通り過ぎてしまうので、どうやってここに立ち止まらせることができるかを必死で考えていたことを思い出す。

 屋上にあった小さな遊園地のような乗り物コーナーも好きだったし、キリッと帽子をかぶった綺麗なエレベーターガールのお姉さんにもそれなりにときめいてはいたが、何しろこのお菓子コーナーはダントツ!!
 
 そういえば、屋上のジェット機型の乗り物も無くなり、ベテランのお姉さんが新人に教えている時は、エレベーターの中に二人分の笑顔とちょっと裏声のアナウンスがあって、今日は得した!というあの感覚も今はもう無い。

 小学校に上がる前に、祖父に連れられて、町一番のデパートに気合いを入れて一張羅の服を着て出かけた。
屋上の遊園地で遊び、地下のこのお菓子売り場でいつもより多めにお菓子を手に入れ、ウキウキして自宅への道をスキップしていった。
 ところが、角を曲がり、そのあるはずの自宅の建物が炭になった棒だけになっていた。
おそらく、そのあたりにたむろしていた消防車がホースを片付けている風景の中で、私は歯を鳴らしながら震えていたのかもしれない。
 手はお菓子が入った袋を握って・・・・・・

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