平日とは言え、夕暮れ時の浅草、雷門の大提灯から始まる仲見世は夕涼みがてら国際色豊かな観光客の人垣で埋まる。揚げ饅頭をほおばる制服の学生達、並べられた扇子を次々と開く白人女性、人形焼きの機械ののんびりした動き、流れてくる韓国語、中国語・・・・
浅草寺までの参道のこの道の人の流れにちょっとうんざりしてきて、表通りの商店街の一つ裏の通りに逃れる。
人通りのほとんど無いシャッターを下ろした店の一つに、そのシャッターの絵を描いているおじさんがいた。腰にぶら下げた袋には、商売道具の一式。筆が数本、ペンチ、メジャー、筆をぬらすための液体を入れてあるのか小振りの水筒・・・・
そのおじさんの脇にはきれいに白に塗られた自転車とその後ろにリアカー。
リアカーには数々の色の入った瓶がきれいに並べられ、それぞれの瓶はアクリルの立方体のケースに収まっている。リアカーの後ろには「NEW YORK TAXI」の看板。雑踏のひと壁向こうの静けさの中、彼の筆はゆったりと進められ、時折、涼しい風が通りすぎる。
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